☆石ころだって磨けばかならず光る★
「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格はない」
これはハードボイルド小説の名手として知られたレイモンド・チャンドラー
の有名なセリフだが、日本のハードボイルド作家としておなじみの北方謙三は
実はかつて純文学作家を目指していた。
彼は昭和45年、『明るい街』でデビューを果たしたが、それ以降の10年以上
書いても書いても芽が出ないという苦難の連続だった。
そんな苦労が限界に来た時、彼は自分はダイヤモンドでも金でもないと悟った
という。「自分は石ころだ。でも、ただの石ころだって磨けばかならず光る。
その輝きでいいんだ」
こうして彼は純文学と決別し、エンターテインメント小説を書こうと決意した
のだ。そして、ハードボイルド作家としての処女作『弔鐘はるかなり』を発表。
この作品で一躍脚光を浴びたのである。
「石ころだって磨けばかならず光る」という言葉を文字通り実践して成功を収め
た北方謙三。それにしても、実に味わいのある明言だ。